
海姥の話
「小豆島の伝説と民話」という本を読んでいると、「化け物話」というのがあった。
さしずめ「山姥(やまんば)」に対して「海姥(うみんば)」とでも言うべき話。
親子3人で、釣りに行った。そやけんど潮がわるうてな、魚がひとつも釣れんでな。
せで、山のさぶしいところに船をつけてな。「まあ、いっぺんあたろうじゃないか」というて親子3人が浜のへりで火を焚いてあたりょうりました。
そうしたところが白髪のおばあさんが、そりゃもうものすごいような声で「わたしもいっぱいあたらしてつかあせ。」と出てきたんじゃ。
こりゃあもう、なんじゃ。この婆さんはただもんじゃない思うて、親父が「さあさあ、お婆さん。あたりなされ。」いうて、どんどん火を焚いてな。兄のほうに
「はあ、いけすにな。めばるがおるがいや。お婆さんに取ってきてあげ。」
いうたんじゃ。そやけど、まだ一匹も釣れとらんのに妙じゃなあと思うたけんど、お父さんがいうから
「はい。」いうて船に乗ったんじゃ。
「お父さん、どこにおるんかいな。」
「なんじゃ、よう見つけんのか。お前、ちょっと見てやれ。」
いうて、弟を船に行かせたんじゃ。
「お父さん、わからん。魚がわからん。」
また弟がそういうもんやから
「なんじゃ、お前ら魚の一匹もよう取らんのか。どりゃわしが見ちゃろう。」
いうて船に飛び乗って、はやもう綱を外してな。
「そりゃ!船出せ!」
いうて急いで櫓こいでな。そしたらお婆さんの口が耳まで裂けて、ほてもう海の中に飛び込んでな。
「うらめしい。」
いうてな。やっぱり化け物やった。
この話は、瀬戸内の化け物話として他の地区にもあるようだ。
私が以前読んだ話では、お婆さんが乳を出して絞るとピューとお乳が飛んで、船にかかるとかかった所がジューッと溶けた。というものだったように覚えている。
以下次号





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