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-島歩き- 小豆島おもしろ草子

結末~時代へ

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結末~時代へ

「皆さん!大丈夫ですか!!」
ようやく揺れが収まり、たくろう氏が叫んだ。

「いててて・・・。それにしても凄い地震でしたね。」
紫蘭さんが腕を押えながら答えた。
「大丈夫ですか?」
「ええ、ちょっと机にぶつけただけです。」
「いやあ、こんな揺れは阪神大震災以来ですね。」
「怖かった・・」
机の下に潜っていたメンバーはお互いに無事を確認しあいながら、口々に安堵の言葉を漏らした。

「あれ?一葉さんは?」
「一葉さんが・・・消えた?」

********************************************************************

「殿!殿!!」
林の中の小道を、鎧兜に身を包んだ武者がこちらに駆けてくる。
「細川の軍勢が讃岐を出たようです!」
「来たか。狼煙を上げて、熊野水軍に伝えよ。」
彼方の海を見ながら、私はそう答えた。

「来ましたな・・信胤様。なあに、細川の腰抜け共なんぞ返り討ちにしてくれますわい。」
私の隣で年配の老武者が言った。
「十郎兵衛。この戦、絶対に負けるわけにはいかん。この小豆島に来て7年。ようやく見つけ出した本物の三種の神器を、なんとしても後醍醐天皇に届けるのだ。」
「信胤様がこの地に来られて、はや7年になりますか。それにしても平家の落人がまさかこの地に三種の神器を隠していようとは、思いもよりませんでしたわい。」
「安徳天皇とともに海に沈んだ神器がいつの間にか引き上げられた、という話を真に受けていたのか?」
「もちろん。信胤様以外の誰もがそう信じていたでしょうな。」
「ふっ。北朝の光明天皇の手にあるのは偽者じゃ。平家はいつの日かの復興をもくろんで、この島の3ケ所に古墳としてそれぞれを隠し、目印のために八幡大菩薩を祀る神社を建てた。伊勢の神宮と、この国の西の端の海神神社の線上にな。」
「平家の落人も、なかなかの知恵者ですな。もっとも、それを見破った信胤様の方が一枚上手でございますが。はっはっは」
「十郎兵衛。この三種の神器をもって後醍醐天皇を正統な帝とし、わしは武家の頭領である征夷大将軍となる。そうなればこの国は思いのままよ。」
「御意。」

私の目の前に広がる穏やかな瀬戸の海に、戦乱の嵐が吹き荒れようとしていた。

~小豆島結界物語~終~

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プロフィール

紅雲亭 一葉
プロレタリア文学作家の血を引く佃煮屋さん。
読む人をして声を出して笑わせしめる天賦の文筆力を授かる。 その文章に根強いファンが増えるはず。

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